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機械保全に役立つ豆知識

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Vol.5 軸受の基礎知識

軸受とは回転または、往復運動する軸や面を支え、これらに作用する荷重を受ける役目をするものをいう。
軸受
●軸受の種類
○すべり軸受(メタル)…動体と直接に面で接触する。
○ころがり軸受(ベアリング)…動体との間にボールコロ等転動体を介する。
また、荷重方向によって
○ラジアル軸受…回転方向の荷重を受ける。
○スラスト軸受…スラスト方向すなわち軸方向の荷重を受ける。

●すべり軸受ところがり軸受の比較
種類 すべり軸受 ころがり軸受
許容荷重 軸受の大きさの割に大きい。 軸受の大きさの割に小さい。
高速性能 一般的に有利。ただし冷却が必要。 転動体、保持器などがあるので一般的に不利。
低速性能 一般的に不利。ただし静圧軸受など非常に有利。 一般的に有利。
摩擦特性 一般的に有利。大荷重の場合には特に有利。 比較的有利。
寿命 取扱いがよければ半永久的 転動体通過により疲れ剥離が起こる。
剛性 一般的に有利。 一般的に有利。
耐衝撃性 非常に有利。 一般的に有利。
騒音 一般的に静粛。 一般的に発生しやすい。
高温・低温特性 一般的に不利。 一般的に有利。
潤滑…保守 一般的に不利。 普通はグリースが使えるので簡単。
互換性 不利。 規格化されているので有利。
構造 ジャーナル軸受ではスラスト受けが必要。 ラジアル軸受でスラスト荷重も支持できる。
形状 直径小、幅大。 直径大、幅小


すべり軸受
●軸受材の特性
 ○非焼付性…金属接触による摩擦熱で焼付きを起こしにくい事。
 ○なじみ性…軸のたわみなどによる片当たりを吸収出来る事。
 ○耐食性……潤滑油、その他に腐食されない事。
 ○耐疲労性…疲れ強さに優れていること。
 ○埋没性……異物(ゴミ)を埋没する性質がある事。

●すべり軸受の材料と特性
 ○ホワイトメタル…鉛、錫のような軟質金属を主体とする。非焼付性なじみ性は良い。しかし、軟らかく強度がなく、熱膨張率も大きい、裏金をつけて補強して使う。
 ○鉛、銅合金……銅と鉛の合金でケルメットと呼ばれている。
 ○青銅、鉛青銅、リン青銅…昔からよく使われてきた。砲金とも呼ばれ銅と鉛の合金である。鉛青銅は青銅に5〜20%の鉛を添加したものでなじみ性を改良したもの。リン青銅は耐荷重性を増したもの。これらは硬いので耐摩耗性に優れるが、十分な加工精度が必要。
 ○アルミニウム合金…アルミニウムと錫との合金で銅鉛合金に近い性質をもっている。

●オイルレスベアリング
 ○樹脂軸受…フッ素系樹脂
 ○金属含油軸受…焼結含油軸受、鋳鉄含油軸受
 ○固体潤滑剤軸受…黒鉛軸受

●すべり軸受の潤滑について
 ○液体潤滑…油を使用、軽荷重、高速回転
  グリス潤滑…グリス使用、重荷重、低速回転
潤滑の目的は軸と軸受との金属間接触を避けるため、この間に油膜を生成させ荷重を支える。また、摩擦熱を放散し温度上昇を抑える。

●メタルの構造
○給油口は原則として無負荷側の最大すき間の位置に設ける。穴径は軸受の形状、給油量などにて異なるが、φ3〜φ8がよい。
○当りは下側につける。面積の70%以上つける。

●すべり軸受の損傷と原因
損傷 原因 対策
1)片当たり 工作精度不良 仕上げ精度(あらさ、真円度、真直度)、仕上げ寸法の誤差を検討
組立て精度不良 軸と軸受の中心を調整する。
剛性不足(弾性変形) 軸を硬くする、荷重を減らすなどの検討
2)摩擦 異物 潤滑油の交換、確実な洗浄、十分なフィルターの採用、異物混入防止、硬い軸の採用。
境界潤滑、低粘度 油圧、油量を増す、高粘度油の採用、油温を下げる(粘度、油膜厚さの確保)
軸あらさ 軸あらさの改善
軸と軸受材質の組合せ不良 互いによく合う材質の選定、軸を硬くする。
油みぞの不適当 圧力の低いところにつける
潤滑不十分 油圧、油量の確保、潤滑系統の点検
3)過熱 油膜が不十分 軸受すきまの増加、低粘度油への変更、油みぞを広げ、油穴を大きくする。油みぞの面取り(r)を大きくする。油圧を上げる。
すきまが小さい 適当なすきまにする。
外部からの加熱 油を冷却する。通風をよくする。
4)焼付き 1)~3)項の原因により焼付きに至る場合がある。
腐食性物質の生成
境界潤滑、固体摩擦の状態にしないこと
1)~3)項の対策を参照。
5)腐食 腐食性物質の生成 潤滑油の劣化防止(有機酸の生成)
耐食性メタル材質の検討
水分 混入原因の除去
6)疲労
はく離
荷重が大きい 設計見直し(軸受面積を広くする、軸受強度を増す、荷重を下げる、耐荷重性の材質を用いる)
軸受の変形 強度を上げる、ハウジングの剛性を検討する。
温度が高い 油圧、油量を増す、すきまを大きくする、粘度を下げる
振動 バランスの改善、振動源をなくす。

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Vol1~4

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